RE-CLASSIC STUDIES

昨今、クラシック音楽は、私たちの日常から遠ざかり、
多くの人にとって縁遠い芸術となってしまったのかもしれません。
偉大な音楽作品は、今や博物館の奥深くに収蔵された、
「美しい骨董品」なのです。

私たちは、歴史の風雨にさらされ、
一目のつかない場所に埋もれたそれらの音楽の、
埃をはらい、
やすりで磨いて、
新鮮な角度から光を当てることで、
「現代の音楽」への"UBERTRAGEN"(再生/翻訳/置き換え)を
試みたいと考えています。

日々の中で、クラシック音楽がより親しまれるように。
不変の美しい音楽が、既知と未知の狭間をすり抜け、
あなたに正しく届くように。

クラシックは難しい?

皆さんはクラシックの歌曲を日常的に聴きますか? クラシックの愛好家や専門家でない限り、クラシックの " うたもの " を耳にする機会はなかなかないと思います。 歌曲やオペラと聞くと、ドレスを着飾ったソプラノ歌手のアアア~と歌いあげる甲高い声を想像し、抵抗を感じる人も多いかもしれません。

でも実は、クラシックの歌曲、21世紀の今聴いても、良いと思える名曲がたくさんあるんです。難解でもなければ、敷居の高い音楽なん てこともない。モーツァルトも、ドビュッシーも、フォーレも、(ビー トルズやレディオヘッドのように)素晴らしいメロディーメーカーであり、「ソングライター」です。届け方、伝え方さえ現代の形に合っていれば、心の底にまっすぐ響くような、それはそれは美しいメロディを作ってきました。

私たちは、クラシック界と、ポピュラー音楽の間にそびえたつ高い誤解の壁を取り払って、美しい歌曲を多くの人に再認識して欲しいと思っています。

クラシック音楽の再生と翻訳

新しい音楽的手法や、音質を模索し続ける現代の音楽家たちがいる反面、過去の偉大な作曲家の意匠を汲み取り、絶え間ない技術の昇華を目指す奏者たちもいます。 もちろん、どちらの行為も素晴らしく、新しい音楽を希求する音楽家たちには、尊敬の念を禁じ得えません。

一方で、「新しい音楽」というのは、「聴きなれない旋律」や「真新しい音」「奇矯に聴こえる音像」だけではないと私たちは考えます。 丁度、翻訳家が、自らの愛した文章を届けるため、新しい言語に作品 を置き換えていくように、私たちは、偉大な名曲に新しい角度から光をあて、丁寧に磨き上げ、多くの人にその魅力を再発見して欲しいと思っています。 それによって、クラシック音楽の美しさが認知され、再び普及してゆく一助となることを願って止みません。

第一弾 RE-FAURE

今回のプロジェクトは、クラシックの歌曲を現代風にカヴァーしただけのアルバム作品ではありません。アルバム毎に一人の現代作家と、異なるフィールドで活躍する一人のリミキサーにオファーをし、 単純なクラシックの焼き直しではない、ボーダレスな作品として制作してゆく予定です。

第一弾は、米国のエレクトロ・ヒップホップアーティストの巨匠、 PREFUSE73の賛同を得て、いわゆるスプリットアルバムのような作品になっています。 さらに、様々な分野の第一線で活躍している人たちが今回のプロジェ クトチームに参加しており、心躍るようなアート・プロジェクトに育っていくことを夢想しています。

RE-CLASSIC STUDIES の展望

私たちは、この「RE-CLASSIC STUDIES」を、シリーズとして継続 し、世界に向け発信してゆきたいと考えています。今回第一弾として取り上げたフォーレに続き、第二弾は「ドビュッシー」に決定しており、 第三弾以降も、クラシック作曲家の歌曲リメイク作品を、様々なアー ティストと共に制作してゆく予定です。

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